akrutm

婚約者の友人のakrutmのレビュー・感想・評価

婚約者の友人(2016年製作の映画)
4.5
この映画はいろいろな見方があると思いますが、私はアンナの心の中の葛藤を描いた映画として見ました。愛してはいけない人を愛してしまったことが明らかになったときの苦悩、それでもあきらめられないという葛藤、どうにもならない状況でも相手を忘れられない想いなどの、さまざまな感情と対峙する一人の女性が見事に描かれています。

白黒とカラーが効果的に使われている映像美そのものも見どころです。現実のシーンは白黒、非現実(妄想)のシーンはカラー、というふうに区別されていますが、非現実がカラーという点がポイント。非現実をカラーにすることによって、この世界を現実のものにするという主人公の気持ちの表れと私は解釈しています。そして、この非現実を現実にしていく方法とは、本人が現実の世界から脱すること。それがラストシーンから推測できる結末だと思っています。

アンナ役のパウラ・ベーアの演技が素晴らしいの一言です。20歳の演技には見えません。これからが楽しみな女優さんだと思います。また、婚約者の友人アドリアンを演じたピエール・ニネもいいですね。過去にイブ・サンローランを演じたこともあり、私も最初は婚約者と同性愛の関係にあるのだと勝手に思ってしまいました。
akrutm

akrutm