ひさかた

冷たい熱帯魚のひさかたのレビュー・感想・評価

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)
3.9
実話を元にした作品。
こんなグロテスクで目も当てられないような行為が行われていたなんて。
主演2人の迫真の演技によって、最高に怖い映画になっています!!
さすがです。

とにかく、でんでんさんが不気味すぎる。
でんでんさん演じる村田は紛うことなきサイコパス。
人当たりが良くて常にニコニコ、誰でも分け隔てなく接する「近所の気のいいおじちゃん」な一面もありながら、
突然声を荒らげて他人を人と見てないような発言をしながらさも当たり前のように人を殺し、他人の生死を握ることで悦に入る。全部引っ括めて村田。
二面性がただただ不気味で気持ち悪い…。それなのに「村田が人として嫌い」という人が周囲にいないのも怖い。
こんな人が実際に存在したなんて。
自分で殺した人を「惜しい人を亡くしたなぁ」「元気でなー!好きだったぞー!」と心から言えてしまう、彼のある意味純粋な側面が気持ち悪い。
こんなセリフを本人の前で(死んでるけど)言えるなんて、気持ちいい人のはずなのに。よりいっそう、気味悪さを引き立てます。

相手を見透かしたようなことを言いながら、心の中にゆっくりと浸透していき、気づかないうちに選択肢をどんどん狭めて操っていく。
人心掌握が上手い、典型的なサイコパス。
その実、自分以外のことなんてなーんにも考えてないのに。

吹越さんがどんどん豹変していくところも見ものです。
今まで無意識のうちに抑圧してきた側面が一気に前面に出てきてしまったからこそ、収集がつかなくなっていく。

これをエンタメとして消化したくないなと思える作品、久しぶりでした。
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