バクチャン

冷たい熱帯魚のバクチャンのネタバレレビュー・内容・結末

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

実在の事件を元にした映画。エログロなんでもござーいなのでR18らしいけどそれを知らずに見て「あれ…普通に…おセッ…あれ……?」ってなりました。

家族仲ひんやりしてる社本一家が、ある日熱帯魚屋さん経営してる村田夫妻に会って殺人事件に巻き込まれてすったもんだのホイ!みたいな映画。
愚かだとこうやって悪い人に利用されるんダナーという人生のお勉強になる…。

村田っていうキャラクターがすごくよく作られてますね!!
作中で村田が急に爆笑したり怒ったり泣いたりっていう動きが、なんだかパーソナリティ障害の人が他人を操作しようとする動きと似ている。でもこの人は障害っていうより普通にそれしか他人とのコミュニケーション方法を知らない悲しい人なんじゃないのかな…と思ってきました。
アドラー心理学?かなんかで出てくる劣等コンプレックスの人。自分が他者より劣ってるってコンプレックスが根底にあるから、周りを怒鳴りつけたり暴力を振るうことで自分の方が優位だと示すという…。

そう思ったのは社本くんに「お前俺の小さい頃と似てる」「小さい頃よくここ(山奥の教会)に閉じ込められてた」って語るシーン。彼はおそらく親から虐待スレスレの躾を受けており、小さい頃から「権力者に従わないと罰を受ける」「自分は他人より悪い子なのだ」と思ってたから、ああいう権力と暴力が全て!みたいな性格になってしまったのでは?と疑問に感じました。
確信したのは社本くんに殺される前〜殺されるシーン。社本くんに「俺を親父だと思って殴ってみろ」「小さい頃の鬱憤を晴らせ」と言います。社本くん一回もお父さんの悪口とか言ってないのに。鬱憤を晴らしたい、お父さんに仕返しをしたいのは本当は村田で、自分の小さい頃に重ねてた社本に自分を殴らせることで欲求を解消したかった?村田は本当一回カウンセリングに行ってくれ頼むから。殺される時には「ごめんなさい、もう悪いことしません」って子供が謝るみたいに言ってるのがまた…人の死体をスケスケにする前に自分の心と向き合った方がいいよ村田くん!って思う映画でしたほんま。

私が村田に着目しすぎたんか分からんですが女性キャラの作り込みは甘い気がした…。強い男にすーぐ尻尾振る村田の奥さん愛子、しみったれた生活に嫌気がさしてるギャルママ妙子、親の再婚きっかけにグレちゃった娘美津子…あんまり掘り下げると映画の本軸がぶれるから掘り下げないのが正解なのかなとは思うけどそれにしても細胞一個しかないんか?ってレベルで女性陣考えが浅いな…と。

でも面白かったし全てのパワハラ上司に見せたい作品でした!!
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