津軽系こけし

冷たい熱帯魚の津軽系こけしのレビュー・感想・評価

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)
4.6
これを面白いって言う人の品性をちょっと疑うよね


人の弱みに悪魔は漬け込む。牙の抜かれた狼にはもはや狂気という牙しか残されていなかった。
社本がなぜあそこまで村田に付け入らせてしまったのか、なぜ村田に従順に従うことしかできなかったのか。それは社本の細かな仕草から何となく読み取れる、ゲロを吐いた口をペーパーで拭ったあと同じペーパーで目まで拭ってしまう、靴もろくに揃えない、典型的な育ちの悪い大人という印象をこのキャラクターには抱かされる。

この育ちの悪さはきっと親からまともな教育をしてもらえなかった現れなのだと思う。だから1人で立つことができずに中途半端なまま終わってしまう、結果家庭も中途半端、娘との関係も中途半端、だから入り込まれる。村田は最低な悪魔ではあるが彼の社本に対する見解は間違ってはいないと思う。でなければあれほど強大な狂気を受け入れるまで燻るはずもない。
弱さは付け入る隙を与えてしまう、彼はついに脱出口を見つけれずに壊れてしまった。プラネタリウムの夢もデートの淡い記憶も全て捨て去り狂気の海へと消えていく。

人間の弱さの本質を表現しきった怪物映画。何より恐ろしいのが実話をベースにしているということ、人の弱さに付け入る悪魔は存在するし、悪魔につけいられる弱い人間も存在する。それはあの店で働く女の子の数を見ても明白だろう。
そして最後にひとこと

おもしれぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええ
津軽系こけし

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