次男

若葉のころの次男のレビュー・感想・評価

若葉のころ(2015年製作の映画)
3.5
「青春を美しく切り取る」という面では本当に素敵に作り上げられた映画で、この陽光のようなキラキラは、回想する各人の当時を美しく肯定してくれるのだろうなあと思いました。
そういえば、「思い返すこと」も「そのときだけのもの」も、そのどっちも青春の一面で、どちらかをやる映画は多くあれど、こんな風に「そのどちらも」を同時に魅せるって、発明なのかも。若く脆い少女が躍動する、大人になる手前の青年が乱暴に汗をかいている、という重要なポイントもしっかりと抑えていて。

とても美しい思春期を観られたけど、僕の好きな青春はこれじゃないです。

◆◆

飛ばした白もいらないし、ハイスピードもこんなにいらないし、とにかく、「こんなに美しくしなくてもいい!」と思うのです。ほっといても勝手に美しく見えるのが青春だと思うのです。見た目に美しかったら、それは映像への感嘆で、本質への感嘆じゃないと思うのです。「通過したからわかる」「通過したから美しいと思える」で、いいと思うのです。空を舞うレコードもあんなに美しくなくていいし、雨に舞う少女達も水たまりも、美しくなくていい。少々汚くても、そのまま撮ってくれ。僕はそれを美しいと思うことでジワジワしたい。なんだか、この作られた美しさには、匂いとか湿度が無いんだ。

好みですが。

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相互作用してそうでしていない二世代。憂う気満々の現在進行形に、懐かしむ気満々の回想。なんだか、頭っから出来レースみたいな運びで、乗り切れない難しさがあったなあ。あと、もっと笑顔が観たかった。なりふり構わない表情が。

これも好みですが。
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