閉じ込められて失くしたものを思い出す姿を観る映画。
18才から56才まで、心の病で病院に入院していた男が、東日本大震災による転院をきっかけに、とっくの昔に病が完治していることが分かり、外の世界に出てくる。そして、青い春の初体験のあの人に会いたくて、会いたくて…。
何故その人に会いたいのか分かりませんが、そんな衝動が生きる力になるのかもしれません。
彼が病院から出て来られたのは、大震災のおかげ…と言うと不謹慎でしょうか。
大震災により痛めつけられたことに心を寄せるのは、もちろん大事だと思います。ですが、その苦しい過去を乗り越えて、今を、未来を生きていかなければなりません。
大震災のおかげ…と考えて、その苦悩さえも力に変えて、生きて行ければ良い、そんな応援歌にも思えてきます。
あ、この映画、そんな肩肘張ったものではありません。ピンク映画に分類されるのかな。
思春期のままの性への衝動に突き動かされた初老の男が、ちゃっかりいいことしちゃおうという話ですよ。
でもね、観終わった後に、先ほど書いた「震災のおかげ」みたいなことを考え込んでしまうのです。
そんな面白い映画でした。