花俟良王

美しい星の花俟良王のレビュー・感想・評価

美しい星(2017年製作の映画)
4.0
野心作…だけど、吉田監督の映画屋としての確かな手腕によって奇抜な物語を地に足の着いた娯楽映画としている。まずはそこが嬉しい。

短いカット割り、ニュース画面の作り込み、エキストラの演技……、こういう細かい所まで行き届いた邦画がどんどん少なくなっている。

普段、原作モノを観る時は特にその存在は気にしないのだが、この作品は三島由紀夫の原作を知るとさらに理解も深まるのだろう。60年代に発表された圧倒的な原作を現代に置き換える作業は相当な気合で臨んだはず。その気合と想いが映画としてきちんと結実しているのが、この監督の力量なのだろう。原作では母の星は火星だが、本作は地球人に変更されている。ここら辺を読み解くのも面白いだろう。

好みは分かれるだろうが決して難解ではないので、多くの人に観てほしい。

桐島っぽくない、という感想が出るだろうが当然論外。
花俟良王

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