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美しい星のNEWおっさんのレビュー・感想・評価

美しい星(2017年製作の映画)
2.5
「シュールさ爆発SF。」

三島由紀夫原作を「桐嶋、部活やめるってよ。」の吉田大八監督が映画化。好みな監督だけあって結構期待値高めに挑んだが、シュール過ぎてちょっと付いていけなかった。

軸は地球環境問題で分かり易いテーマなんだが、ストーリーは妙に難解にしていてなんか分からなかったトコも多々。吉田大八テイストはそこかしこに感じたけど。

前半、父が火星人、娘が金星人、息子が水星人とカミングアウトする。割と冷静な息子を尻目に、段々と可笑しな言動や行動をさらしていく父や娘に周りも狂気を感じていく。特にリリー・フランキー演じる父の重一朗、天気予報士なんだが天気予報中に地球温暖化の原因を詳しく言うトコは笑った。あの変なポーズも面白い。

後半になると段々とカオスになっていき、家族以外にも水星人とか名乗る黒木なる男も現れて、予想だにしない結末へと向かう様は先が見えない面白さと言えば聞こえはいいが、最後まで見た後振り返ると色々と投げっぱなしなトコもあると感じた。おそらく、そういうシュールさを狙って作った映画だろうけど、自分的にはその狙いがハマるほど面白味を感じられはしなかったなー。

黒木とは結局何者だったのか、大杉家は本当に宇宙人一家なのか、明確な答えはこの映画では描かれない。特にラストシーンはどう解釈するかはそれこそ人によって様々な意見が出るであろうが、こういうのが多すぎてかなり消化不良。シュールさは嫌いじゃないが、それに頼り過ぎてちょっと自己満足の強い作品だった。