踊る猫

美しい星の踊る猫のレビュー・感想・評価

美しい星(2017年製作の映画)
4.8
これはしてやられた! という感を抱く。もしかしたら今一番キューブリックに近い位置に居るのが吉田大八という監督なのでは……と。結構重大な突っ込みどころは幾つかあるのだけれど、それを踏まえても 3.11 を見据えた果ての SF 映画としてデリケートに出来ている(舞台が金沢ではなく福島であれば私は満点をつけた)。それに加えて世代間格差の問題、エコロジーの問題も絡めてあざとく(褒めてます)仕上げたという感じ。序盤の退屈さや素直に笑えない登場人物の奇行の数々、先程書いた「突っ込みどころ」は無視出来ないがここまでの規模の予算を使って、吉田氏らしく狂気がエスカレートしていくところをグロテスクに見せる怪作を作り上げたその手腕は凄いのではないか。『アメリカン・ビューティー』や『マグノリア』を想起させられる場面もあり、私自身の内側の病理に対して無自覚では居られなくなった。私もまたエイリアンなのか?
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