当たらない天気予報で知られるお天気キャスターの大杉重一郎は、妻の伊余子、フリーターの息子・一雄、大学生の娘・暁子と平凡な毎日を過ごしていた。
ある夜、車を運転中に光に包まれる奇妙な体験をした重一郎は、やがて自分が火星人であることに気付き、番組内で「惑星連合からのメッセージ」を伝えるようになる。
やがて、一雄と暁子もそれぞれ水星人、金星人であるとの認識を持つようになり……
三島由紀夫の小説「美しい星」を吉田大八監督が撮った映画。
原作未読です。
三島由紀夫原作で、父は火星人、息子は水星人、娘は金星人、母は地球人という、自らの故郷の惑星の出自に気づいてしまった家族の奇妙な物語である。
小説として手に取るかは微妙な作品なんだけど、映像なのに小説を読んでいるような、そんな気持ちになる作品でした。
とても良い意味で小説的な。
文章としてすっと体に入ってくる感じのストーリーでした。
この映画、吉田大八監督が長年温めていたものと言う事で、東西冷戦時代に書かれた原作が核戦争による人類滅亡の危機を取り上げていたのに対し、それを地球温暖化に改変し、現代を舞台とした物語に仕立て直していた辺りはなかなか見事なアレンジと思いました。
ただ、内容には温め過ぎた感もあり、筋運びには独善的であったり、乱暴なものがあり、広く受け入れられるようなものになっていないように思えたのは、残念な所。
NGという人の気持ちも分かる。
これはこのノリに乗れるか?と試される映画って感じだし。
いろいろある印象深きシーンの中でも突きぬけてたのは、橋本愛が浜辺でUFOを呼んでるシーン。
我が身の美しさを無表情のまま微調整をして内面の感情を表現できるのって、この若さでは橋本愛の右にでるものはいないであろうって思う。
撮り方も音楽も全部が鳥肌ものにカッコ良かったです。
50年以上も前に発表された作品なのに、今観てもけったいな話で問題提起になっているのは、素晴らしいです。
人間の愚かしさや愛といった観念は、果たして人間が戦争をし続けるよりも尊いものなのだろうか?と考えざる得ませんでした。
ただ、人物同士のゆったりとした会話を散漫に繋いでいく編集で、これは映画ではなく明らかにテレビドラマの編集。
ひたすら時間に対する演出の効率が悪い。
適当に流し見る分にはわかりやすくていいかもしれないけど。集中して観るには間が辛い。
しかし、近年は宇宙人ものが大流行らしいですね。
アメリカ映画の『メッセージ』も宇宙人との対話の話だったし、黒沢清の『散歩する侵略者』も地球を侵略しに来た宇宙人に体を乗っ取られる話だし。