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はじまりはヒップホップのくりふのレビュー・感想・評価

はじまりはヒップホップ(2014年製作の映画)
3.5
【痛快ヒップ・ホップ・ギャップ!】

レンタルDVDにて。ニュージーランドの小さな島ワイヘキで誕生した、平均年齢83歳のダンスグループを追うドキュメンタリー。

重い現実がふと見え隠れするも、元気なおばあちゃんズに元気を分けてもらえます。

おばあちゃんズなところがポイント。男が少ないのはダンスを嫌うからか、平均年齢的に先に逝くこと多しという現実からか。社交ダンスなら当たり前だが、ヒップホップを選んだところが慧眼ですね。

振付師&マネージャーのビリーというおば…お姉さんの出自は、大地震をきっかけにワイヘキに移り住んだ、という以外よくわかりませんが、プロデューサーとしてのセンスはあったのではと。

邦題に「はじまりは」と付けたのはよくわからない。クルー結成済み、レッスンの様子から始まって、誕生の瞬間には触れないから。何かワケアリなのか、かえって気になる(笑)。

原題『Hip Hop-eration』も正確な訳がわかりませんが。始めクルー名「THE HIP OP-ERATION CREW」からと思ったら違っていた。このクルー名は、全員が腰の手術経験者だから、というのが由来だって。自虐を笑い飛ばすようで痛快。

で、実際のダンスはどんなものに仕上がるかと思えば…まあ、ラジオ体操でしょうかね(´∀`;)。

が、ギャップのあるものに挑戦し、そこに摩擦が起こるゆえの輝き、もっと言えば若返り、て確実にあるのだと伝わる。実際、見ていて素直に感動する。

若い世代とのギャップが、ダンスですっと埋まるところなども、とても気持ちよいです。

で、ラスベガスで開かれる、ヒップホップの世界大会を目指すことになりますが…。老人ならではの問題が、幾つも立ち上がる。これもまあ、そうだよなあ、と頷いてしまうが…さてその先は?

おばあちゃんズには、いい役者が揃っていますねえ。元オペレッタ歌手なんて人もいて、現役時代を偲ばせたり。人に歴史あり、としみじみ。

そして最終ステージを迎えると…これは、盛り上がるでしょう!そうならざるを得ない(笑)。…ラジオ体操なのに、涙もの!

この最終ステージはもっと、じっくり見せてほしかったですけどね。使用できる素材が充分ではなかったのかなあ?

全体、肩の力を抜いて楽しめる仕上がりでした。しかし、カラッポなハリウッド娯楽大作なんかより、ずっと様々なものをもらえます。

<2017.4.27記>
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