わたふぁ

さよなら、ぼくのモンスターのわたふぁのレビュー・感想・評価

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カナダの製作で、同性愛が1つのテーマで、監督自身もゲイを公言していて、半自伝的な作品で、若くして才能を開花させていて。
ドラン監督の名前を出さないほうが変、と言っても過言ではないほど共通点が多い。音楽の使い方や俳優のチョイス、親に問題を抱える主人公などの設定まで、どこか重なる。

若者特有のエモーショナルを表現したがってるのはわかる。けどオリジナルの表現でなければ今となっては伝わらない。なぜならグザヴィエ・ドランがいるから。監督のやりたいとする表現のその先のずっと先を彼が歩いているから。だからグザヴィエ・ドランに続くのなら、彼がそうしたように、道なき道をまずは自分の足で突っ走らなければならないのだと思う。

例え表現を近づけられたとしても、エモさまでは不可能なのだということがわかっただけでも、こちらとしては見た甲斐がある。
グザヴィエ・ドランと比較されることは監督にとっては極めて不本意だと思うが、その点を抜きにしても、というか、それを抜きにしたら、価値は無くなる一方だと思う。

何が言いたいのかわからない作品だった。が、表現のエモさに関しては、それがわかったからどうだというものではない。意味不明でもエモいものはたぶんエモい。

ドラン作品との違いはなんだろう。
うーん。わからないけど、たぶん、愛、だと思う。底の方の、普遍的な大きな何かが足りなかった。私には。