さいらー

ザ・プレデターのさいらーのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・プレデター(2018年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

ほぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!


変態メガネことシェーン・ブラック監督の持ち味であるブラックでシュールなギャグが映える、プレデターの新たな境地。
『プレデター』の直接的な続編として微かに繋がりを感じさせながら描かれながらも(初代のマスクがあったり、過去の事例として語られていたり)、見事に挑戦して新しい領域に踏み込んでいる。


「本作は映画としてどうだった?」と聞かれれば、映画オタクとしては「シェーン・ブラック監督の腕と脚本は完璧。プレデター映画の中で最も笑えて最も構成が上手かった。最高に興奮した」と答える。
ではプレデターオタクとして「本作のプレデターはどうだった?」と聞かれると「フジティブは80点。アサシンは20点。プレデター・キラーは100点!」と、色々な葛藤もありながらそういう結論に達した。

まず語らなければならないのはアサシン(アルティメット)についてだが、これは正直『プレデターズ』におけるバーサーカーに近いものを感じてしまい古傷を抉られた。個人的には好きになれなかったのが痛い。
だが好意的に見ればプレデターの中でも歴代ダントツのお喋りで面白いやつではあった。フジティブを追ってきた理由がプレデターという種の目的に踏み込んだものであったのも面白い。

そしてフジティブについてだが、こいつはかなり個性的で面白いやつだ。スマートでかっこいいデザインもさる事ながら、特筆すべきはその内面にある。とにかく人間好きで、人の文化にやけに明るい上に人類を守る為に全プレデターを敵に回すという驚異の行動に出たほど。
こいつが何故そこまで人間好きになったのかというその生い立ちについては当たり前ながら劇中で伺い知ることは出来ないが、ヒントは散りばめられていたように思う。半分妄想だが、人間を狩りの対象として研究するうちにその文化に興味を持ち、次第に情が移ったというか極度の人間好きになってしまったのだろう。だがあくまで人類という種に対する愛着であって、個々の人間は割とどうでもいいので攻撃してくるやつは普通に殺す。
それだけに早々に退場してしまったのが本当に残念で仕方ないが、考察の捗るプレデターの鑑のようなキャラクターだ。

そして最後にプレデター・キラー。これはファンの中でも意見が二分しそうだが、自分はもうとにかくかっこよすぎて心を鷲掴みにされてしまった単純な方のオタクだ。「プレデターになりたい」と常日頃から夢見ていたようなオタクなので、自分がプレデターになれるというガジェットが本当に映画で登場したときは思わず拳を握りしめた。あのフィギュアが出たら絶対に買ってしまう自信がある。




と、色々語ってきたが本作最大の魅力って、実はプレデターじゃなかったりする。映画を見るまではプレデターさえ良ければ他はどうでもいいとさえ思っていたのに、映画を見ているうちにいつしかルーニーズ(主人公たちのグループ)が好きでたまらなくなった。
男の子を含め全員が問題を抱えた奇人変人の集まり。こいつらが集まってる場面では常にブラックなジョークが飛び交い、支離滅裂な言動と思考が濁流のように垂れ流される。もうこれが可笑しくて可笑しくてしょうがない。
「プレデター(捕食者)じゃなくてハンター(狩人)だろ」というツッコミもぶっこんでくる辺りが流石のシェーン・ブラック監督。

フジティブプレデターがかっこよくて面白くて好きで、でも途中で退場しちゃって気が落ち込んでた辺りでどんどんルーニーズが光り出す。そうしてアサシンに魅力を感じない自分でさえもルーニーズが映画の最後まで引っ張ってくれた。
ここまで楽しいプレデター映画は今までに無い。