くわまんG

ザ・プレデターのくわまんGのレビュー・感想・評価

ザ・プレデター(2018年製作の映画)
4.0
I LOVE PREDATOR.
DO YOU LOVE PREDATOR?
TOGETHER PREDATOR FOREVER !!!

みどころ:
溢れるプレデター愛
めちゃくちゃポップ
新作として素晴らしい出来
開始数秒から爆笑目白押し
決戦が不真面目

あらすじ:
凄腕スナイパーのマッケンナ大尉は、優秀な軍人であり、喧嘩っ早いクソ亭主であり、発達障害の息子と向き合わないダメパパ。
ある日メキシコでの狙撃任務中、突如空から巨大な物体が落下してきた。近寄ってみるとそれは、明らかに地球外技術で出来た乗り物、宇宙船だった。
と、そこへ仲間が合流。何とか落ち着きを取り戻し、証拠品を押収して離脱を図ろうとした次の瞬間…仲間は肉塊と化していた……!

俺はプレデターが大好き。

まず言わずもがな、造形が好き。ドレッドヘア、網タイツ、専用マスク、むき出し脳ミソ、つぶらな眼、物食べにくそうな口、出っぱなしの歯茎、すぐ壊れる光学迷彩、種類だけは多いセンサー、ファジーな録音機器、アームブレード、投げ縄、円月輪、自分の頭を吹っ飛ばしそうなショルダーミサイル、救急箱、携帯コンロ、自家製塗り薬。

残虐で陰湿で「なんと醜い顔なんだ…」なプレデターが備える、唯一無二の愛嬌が好き。もっさりとしたオッサン走りとか、不器用でどんくさい手先とか、甚だ非効率的なオーバーテクノロジーとか、それを使いこなせずに凡ミスして死ぬところとか、楽しそうに戦利品集めしてるところとか、バレてもこそこそ隠れようとするところとか、すぐ諦めて母船爆破するところとか、気分屋で無機物に八つ当たりするところとか、わりと痛がりなところとか、一騎討ちで喜ぶところとか。

シリーズの中では、とりわけ『プレデター2』が好き。シュワちゃんだから何とか勝てた『1』とは違い、一般人が不屈の精神で勝利した『2』は、まさに勇者の物語だった。プレデターの習性や矜持がフィーチャーされていたのも最高。

2018年現在、プレデターというネタはもうかなり掘り返されている。後付け要素で頑張った『AVP』、残念な『AVP2』、外伝っぽいのがちょうどいい『プレデターズ』…だがいずれも『1』や『2』には遠く及ばなかった。正直、今回もさほど期待はしていなかった。クソでも受け入れるつもりでいた。

ところが開幕直後、人工衛星に当て逃げしたプレデターを観た瞬間、俺は歓喜した。“プレデターに初めて殺された男”はわかってくれていたのだ。安定感のあるテンポ、計算された爆笑演出、ポップかつ残忍なアクション、紙一重でドボンを回避しているオリジナリティ、次回を楽しみにさせる新機軸、そして何よりたっぷりのプレデター愛。そう、本作品は予想を遥かに上回った。俺は劇中何度も感謝した。

それだけに、決戦のユルさが悔しくてならない。いくらチームPTSDとはいえ、最後だけは真剣にやってほしかった。ゲイリー・ビューシイも(ゲイリーの息子ジェイクが同じく「キース」という役名で出演している!そっくり!)ビル・パクストンも本気だったから、ダニー・グローヴァーが活きたのだ。なのに佳境でもだらだらくっ喋って、抑揚も工夫もなく何となく数を減らされて、ぽっと出の熟女(ヒロイン枠のくせに背景描写が一番浅い)やらラッキーパンチやらでドタバタと終わってしまった。例えば、息子は拉致されたままにして、女は気絶させておいて、じっっっくりタイマンをやってくれていたなら…。実に、実にもったいない。

本当は、どんなにクソでも満点をつけるつもりだった。だが、概ね素晴らしかったからこそ敬意を払い、断腸の思いで1点引いた。

シェーン・ブラックさんよ。こいつはあんたへの感謝と、俺の決意のマイナス1点だ。あの終わり方からして、続編を面白くするにはかなりの試行錯誤が要るだろうな。でもよ、あんたに預けた『プレデター』だ。存分にやってくれ。最後の一兵卒になるまで、ついていくぜ。