梅田

海は燃えている イタリア最南端の小さな島の梅田のレビュー・感想・評価

3.7
パチンコで遊ぶ少年、海鮮料理を作る主婦、リクエストに応えるローカルラジオ局のDJ、明確な文脈もなく切り取られる小さな島の日常が、やたらとフィクショナルな映像となっているのが面白い。ドキュメンタリーらしからぬショットの切り返しや妙にキマってる構図。感覚としては以前観たルシール・アザリロヴィックの『エヴォリューション』なんかに近いとすら感じた。
それを「前フリ」と呼ぶと下品な表現かもしれないが、そうした映像と同じ温度で、かつ一切の政治性が削ぎ取られ映し出される、剥き出しの「死」の有り様には言葉を失うしかない。漁師が素潜りする夜の海よりもはるかにおだやかな昼の海が、ただただ恐ろしく映った。
梅田

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