海は燃えている イタリア最南端の小さな島の作品情報・感想・評価

海は燃えている イタリア最南端の小さな島2016年製作の映画)

Fuocoammare/Fire at Sea

上映日:2017年02月11日

製作国:

上映時間:114分

3.6

あらすじ

イタリア最南端、北アフリカにもっとも近いヨーロッパ領の小さな島、ランペドゥーサ島。12歳の少年サムエレは友だちと手作りのパチンコで遊び、島の人々はどこにでもある日々を生きている。しかし、この島にはもうひとつの顔がある。アフリカや中東から命がけで地中海を渡り、ヨーロッパを目指す多くの難民・移民の玄関口なのだ。本作は、『ローマ環状線 めぐりゆく人生たち』(ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞)のジャンフラン…

イタリア最南端、北アフリカにもっとも近いヨーロッパ領の小さな島、ランペドゥーサ島。12歳の少年サムエレは友だちと手作りのパチンコで遊び、島の人々はどこにでもある日々を生きている。しかし、この島にはもうひとつの顔がある。アフリカや中東から命がけで地中海を渡り、ヨーロッパを目指す多くの難民・移民の玄関口なのだ。本作は、『ローマ環状線 めぐりゆく人生たち』(ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞)のジャンフランコ・ロージ監督が、温かくも冷静な眼差しで島の日常を見据えるドキュメンタリー。世界の縮図が浮かび上がってくる、静かなる衝撃作。

「海は燃えている イタリア最南端の小さな島」に投稿された感想・評価

ランペドゥーザ島、人口6500人の小さな島。Google mapで位置確認。シチリア島の南西、というよりチュニジアの東、距離的にはアフリカの方がシチリア島よりも近い。なるほどこれなら難民がやって来るのも頷ける。と言ってもアフリカからの距離は約130km、北九州から対馬までの距離くらいあるから小さな船では危険だ。それでも、この20年で40万人の難民が上陸、海峡で溺死した人は約15000人と最初に説明がある。リビア、チュニジア以外にも、サハラ砂漠を渡ってマリ、ニジェール、ナイジェリアからも難民が来る。
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でも、このドキュメンタリーで描く難民たちのショッキングな様子は3割程度、残りの7割で描くのは平和に暮らす島の人の生活ぶり。漁師の息子の少年(パチンコ遊び、片方の目が弱視と分かって治療用眼鏡で生活する様子)、素潜り漁をする人(この島は石灰岩の海蝕洞と透明な海で有名)、ラジオのDJ(リクエストでかかった曲がこの作品のタイトルと関係する)…穏やかな暮らしがあるから、その対比で難民の様子が際立つ。彼らも追われる前は穏やかな暮らしをしていただろうに…
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イタリア政府は島に難民収容センターをつくって救済をしているけれど、一般の人たちは難民とは全くつながりがなく、互いに何の影響もない。何という不平等、これが現実なんだな。頭で想像してわかっているつもりでも、目で見ないと理解しえないことがある。そこを見せるのが監督の意図なのだろう。この二つの世界の両方に関わって現実を知っているのは医者と収容センターの職員だけ。難民たちはこの後どこに行ってどんな暮らしをするのだろう? 
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日本は難民受け入れの数が先進国の中ではお話にならないくらい少ない。こんなの見たら「自分たちさえ良ければいい」などと思ってはいられない。それが普通の感覚だと思うけど、ヨーロッパで移民・難民問題は大きな国内問題になっているから、人道に訴えるだけで、無責任に受け入れ続けるわけにもいかない現実もある。難民発生のもとが絶たれることを祈るのみ・・・
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別角度からの注意を一つ。説明なさすぎで、淡々としすぎ。感覚鈍った状態で見るとおそらく寝てしまう作品です。
カラン

カランの感想・評価

4.5
イタリアの難民問題を巡るドキュメント。

このドキュメントは、イタリアの ランペドゥーサ島を舞台にして、中東、アフリカからの難民が、船にぎっしり乗って、海を渡ってくる。

ぎっしり乗っているので、もし誰かが病気になって、それが伝染性ならば、皆んな死んでしまうだろう、というぐらい、ぎっしりと船に乗っている。

ぎっしり乗った船が、座礁をしたり、動力系が故障することもあり、地中海の只中で、初めて海を見たという人たちを乗せた船が、転覆することもある。

乗り過ぎだ。この手の難民を、運ぶ業者がいるようだ。手引きして闇に隠れて、出発するこうした業者は、お金を少ししか払えない人は、船倉に詰め込まれる。不具合があれば、何らかの保証を受けられるような格安航空券とは違う。詰め込まれる側も詰め込む側も、命の保証すらない。

皆んな事情がある。戦争とか宗教とか。そして、船を使っている密輸業者も、商売としてやっているのだから、たぶん、この非常にリスクの高い大移動の決行に加担しているのだ。

このドキュメントは上記の移民の物語と、ランペドゥーサ島の島民たちの素朴な生活を対比させながら描く。ラジオのDJが、島の人の想いを運ぶ仕事をしており、子供たちは、他のどことも変わらない遊びをしている。しかし船は上手に扱えるようにならなければならないようだ。


一番衝撃を受けた場面。海に船が浮かんでいるのだが、人影はない。カメラが船内を捉えると、雑然とした、ゴミの山が映る。よく分からない。何度も見返したが、人間の手とか、足とか、首すじとかのように見える。しかし、私にはうまく分からない。こんな風に人間の身体?が、乱雑に散らばっているなんて。あまりにシュール過ぎて、これはよく戦争映画や大量虐殺の映画で人がたくさん死んでいる場面と同じようなものなんだ、などとはにわかには思えない。それほど、disorderly、いやchaoticな光景である。

素朴に生きる人たちと、脱出して生き延びようとする人たち。

エンジンのそばで寝ていたのか、燃料を被って化学熱傷(化学物質で火傷のように組織が損傷を受ける)になる者がでるまで、さらには妊婦まで、船内に詰め込んで、たぶん根拠なんてありはしないが、いささか陰鬱な希望を運ぶ船と、がらーんと、ゴミと明るく船内を浮遊するホコリと死体だけになって漂流する船。
あゆみ

あゆみの感想・評価

4.5
よく撮れたなと感嘆するシーン多数。重圧で心が押し潰されそうな二時間だった。
死体が山のように積み重なる船倉や、救助された移民が目薬を血の涙のように流すカットなど。
夜明けとともに、ヘリの格納庫が開いていく場面の美しさも。黒々とした夜の海の中を差す孤独な光も。
常にフィックスかゆっくりすぎるパーンで撮られていて、淡々と、だけど強烈な映像の数々に、茫然と魅せられた。

救助された黒人男性が歌うように語った。その独白のような、「生」を叫ぶようなラップを、息を止めて全身で聞いた。
紛争で多くの仲間が死んだ。殺され、犯された。安全に暮らすことができなくなったから、祖国を捨てた。命からがら逃げ出し、砂漠を渡った。水もない。途中で多くの仲間が死んだ。
リビアに着くと収監された。リビアの監獄はひどい場所だった。常に暴力を受け、水も食事もなかった。3年収監された仲間がたくさんいた。6年収監された仲間がたくさんいた。耐え続け、監獄を命がけで逃げ出した。一か八かの賭けにでて、海をわたることにした。多くの船が沈み、多くの仲間が死んだ。海は人間が渡る場所じゃない。人間なんかに渡れるようなものじゃない。でも俺たちは、一週間海を渡り、たまたま幸運にもイタリア最南端の島まで辿り着いた。
俺は生きている。生きている。生きている。


救助された移民たちが小さなスペースでサッカーをしているシーンで涙が出そうだった。皆、「シリア!シリア!」などと、ワールドカップのような雰囲気で母国の名前を叫び応援する。
逃げ出した先の国で、祖国の名前を叫ぶ。こんなにも理不尽で悲しいことがあっていいのか。好きで国を捨てる人なんてどこにもいない。

泣きたかったけど、泣いてはいけないと思った。涙で、悔しさを晴らしてはいけないと思った。
何もかもはできないけど、何だったらできるのか、向き合いたい。
TICTAC

TICTACの感想・評価

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難民問題とかよく言うし映画のテーマにもなったりすることが多いけど、この映画でまじまじと本物を見せられた気がする。

100人以上が小さな船にぎゅうぎゅうに詰められて、水や食料を乗せる場所もなく、1週間も飲まず食わず。船の下の層では息もできないくらい空気が入ってこない。暑い。脱水症状。感染症。

対して、島のある子供の様子を演出も加えながら映す。パチンコも自分で作る。桟橋で胃を鍛える。ああいう島で育つのと、東京で育つのとでは色んな違いがあるんだろうな。想像力が培われるというか。
MasayaJoe

MasayaJoeの感想・評価

4.3
救助された直後の顔と嗚咽。「今、どんなお気持ちですか?」なんて聞けるわけない。心のうちにある壮絶な思いを想像するだけで精一杯である。フィクションの作り手は現実に敗北する。なぜ彼らは今ここにいるのか?彼らの過去は?難民となった原因は?彼らの背景を描く展開だっていくらでも考えつくだろう。しかしそれこそ物語化に繋がってしまう。安易に物語って現実を捻じ曲げてはいけない、そうした危機感と覚悟が映画の背後にあるような気がした。
目の前にあるものにただ目を向けて、彼らの顔のシワや涙、唇の色を見る。観客にはそれが求められている気がする。画面を信じること。言葉ではなく。まして物語でもない。勇気をもって目の前の対象を見つめること。そんな映画だと思った。
ヨーロッパの難民危機に揺れるイタリア領最南端の島「ランペドゥーザ島」で撮影されたドキュメンタリー。漁師の子である12歳の少年と到着した難民たちを治療する医者を中心に撮影されている——。

ドキュメンタリーは、島の生活に焦点を当てた少年のパートと、難民のパートで進んでいく。島の生活は決して裕福ではないが、それ以上に難民たちの現実は想像を絶するほどに劣悪だ。難民たちは、小さな船に満員電車の様な状態で、アフリカから何週間もかけて、イタリアへやってくる。途中で、多くが命を落とす…。

本作は、ドキュメンタリーとして、第66回ベルリン国際映画祭で、金熊賞に輝いている。しかし、開始数分で感じたのは「これは本当にドキュメンタリーなのかな?」だった。特に少年パートは、まるでストーリー仕立ての映画を観ているような印象を持った。ドキュメンタリーとしてのリアリティは薄かったが、その分、見せたいことがしっかり整理されていて、良くも悪くも分かり易かったが。

一方で、監督による意図的な印象操作はないように思えた。島と移民たちの現実を見せて、どう感じるかは、観る者に完全に委ねている。ニュースの報道以上に、ニュートラルな視点だったのは、好感が持てた。(※マイケル・ムーア監督を批判しているのではない。あれはあれで良いと思う)

映像表現はドキュメンタリーらしく無かったが、難民の素顔はしっかり映っていた。ジャンフランコ・ロージ監督はアフリカ北部のエリトリア出身なので、ここまで撮れたのではないかと思う。
YukiAzuma

YukiAzumaの感想・評価

3.3
深刻な移民の現状と島の少年の生活。1つの島で交わることのない2つの現実が描かれているわけだが、作品の構成のせいかあまり引き込まれず…
苦しくもいい映画だった
ysak

ysakの感想・評価

3.4
イタリア最南端の島の二つの顔を静謐に描いたドキュメンタリー。なんだけど、特に住民のシーンはかなり仕込み度高めで、フィクションとの狭間。難民というテーマは地政学的にモラトリアム長かった日本だけど、そろそろ向き合う時期だとは思う。
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