じゅんP

王の運命 歴史を変えた八日間のじゅんPのレビュー・感想・評価

4.2
何これツラ過ぎ。

父子の愛憎の話に見えて、本質は重度の自滅合戦。自己と他者とを分けられず、思い通りにならない手足に毒を盛っては心を削り合う。

権力の集中や、家父長制に基づく男尊女卑など制度の不備も相まって、幼稚な自分を暴力的なまでに押し通せてしまうモンスターの独壇場と化した王宮。

理不尽な怒りのほとんどを我が子ひとりに向けてしまう父と、それをまともに受け続けてぶっ壊れる息子。
まともな判断力を失って、それでも共依存するしかないほど揺るぎないものに自分たちで祭り上げてしまった血縁の哀しさ、体裁の虚しさよ。

外に広がるしがらみ、内に巣食う欲望、それらを全て取っ払うことができていたなら…という夢想と、箱に隔てられたあまりにも遠い距離の現実とを同時に映し出す残酷さ。

意味や評価や正しさを超えて自己を確立し、応えてもらえることを期待しないサンの舞に報われてゆく。
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