「ドレスをまとう美術館」
無数のマネキン、
絢爛豪華なドレス、装飾品、靴が
何もなかった空間に所狭しと並べられ、展示されていくのにうっとりする。
ただただドレスが美しい。
その上、西洋と東洋のファッションについて「鏡の中の中国」というコンセプトでまとめあげていく。キュレーターという美術館などの管理監督を行うプロの仕事について丁寧に記録されており、熱い。
ファッションは「女性的」であるということで絵画などに比べ美術館に並べられるほどの地位を現代ほど確立していなかったこと。
アートだけでは食えない、商業的にだけでは低くみられる。
信念や大事なものを守り廃れさせない為にはお金は不可欠。
ハイカルチャーと大衆文化の融合。
その広告塔として働く女性を
「プラダを着た悪魔」に例えて信頼を裏切る行為では?と本人から苦笑されるシーンや、
仏陀と人民服を一緒に並べる気か?とウォン・カーウァイにダメ出しされるキュレーターの男性とか。
夢見るような美しい理想と、揺るぎない厳しい現実の狭間をプロがバランスをとって歩む姿がよい。
特にお気に入りは、バカでかいグリーンドラゴンの柱と、レッドカーペットの階段の装飾イメージ写真に「これならウォータースライダーを作ったほうが喜ばれる」ってつっこまれるシーン!
ドレスは人が纏うと、肌と布とのコントラストの美しさや、レースが揺れ、括れ、生命力が溢れるけど、
動かないマネキンが纏うと、より一層デザイナーの怨念(言い方が悪い)のような思いや願いが背筋をぞわぞわっと這い伝わってくるから、不思議だ。魅入られる。