イチロヲ

ある戦慄のイチロヲのレビュー・感想・評価

ある戦慄(1967年製作の映画)
3.5
窃盗を常習している2人組のチンピラが、夜行列車の乗客たちを脅迫しようとする。列車内の密室劇を描いている、サスペンス・ドラマ。原題は「重大事件に発展する可能性をもつ出来事」を意味する言葉。

深夜帯のニューヨークを舞台に、列車乗客の人間模様を描いていく作風。前半部では、多様な境遇に置かれている老若男女が、ニューヨークの夜行列車に乗車。各々の交わることのないシークエンスが、散文詩のように描かれる。

後半部に入ると、本能に忠実なチンピラが恐喝行為を開始。異なる性格をもつ乗客たちが、善意を取り繕ったり、対岸の火事を決め込んだりする。列車内に「社会の縮図」を創り出していく論法が取られる。

残業などで最終電車を経験していると、何かしらのあるあるネタを発見することが可能。カリカチュア化された風刺劇として単純に楽しむことができるが、車掌の存在が消されているのは、さすがに無理がある。
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