公私ともにラングのパートナーであったハルボウが脚本。意外なことにかなり軽妙な喜劇で、これはこれで楽しいが、軽いのと重いのどっちが好きかと問われれば、もちろん後者になってしまう。利己的で抜け目ないが愛嬌たっぷりなコリンズの造形、手紙などの小道具のたくみな使いかた、人間を翻弄する動物の躍動などは、後進のジャンル映画へ影響をあたえているのかもしれない。これだけ引きの固定ショットが多いと、やはりロシアの海兵が上陸する躍動的なカットがきわだつが、全編にわたる空間の豊かな広がりと舞台装置の美しさもかなり印象的。