ある戦慄の作品情報・感想・評価

「ある戦慄」に投稿された感想・評価

Aika

Aikaの感想・評価

3.8
真夜中の地下鉄に乗ってきたのは粗暴なチンピラ二人組。
彼らは乗り合わせた乗客達に執拗に絡み始める。

「ゲットアウト」の居心地の悪さと
「ファニーゲーム」の得体の知れない恐怖を兼ね備えたような不快感100%ムービー。

様々な人種や年齢の乗客達。他人には決して触れられたくない、触れてはいけないところをあえて指摘し煽ってくるチンピラ達。
それに対する反応は様々だけど、共通するのは全てネガティヴな感情だということ。
怒り、妬み、失望、偽善、敗北感、無力感…こんな感情でいっぱいの車内はまるで燃料タンクのよう。緊張感漂う中、いつ誰が発火源となり爆発するのか。

クライマックスは突然やってきてカタルシスはある程度得られるものの後味は悪い。そしてオマケにもう一つ気分が悪くなるものをさりげけなく目撃させられる。観客を決して気持ち良く帰らせるつもりはないらしい。

最高に厭らしい作品。褒め言葉です。レビュー書いてるだけで思い出してイライラするほど笑

チンピラの一人は若かりし頃のマーティン・シーン。イケメンですが人間ではありません。
umd

umdの感想・評価

4.3

このレビューはネタバレを含みます

なにを思っていいのやら…
とりあえずギブスした兵隊さんがかっこいい。

電車に乗る前はみんな威勢がよかったのに、電車にのったあとみじめな傍観者に成り果てる姿はリアルだったし切なかった。

中学生のときに近い状況を経験したことがあり、思い出した。
シズヲ

シズヲの感想・評価

4.7

このレビューはネタバレを含みます

深夜の電車を舞台にした密室サスペンス。人間が社会で生きていく中でどれだけの憂鬱を抱えているのか、秩序に押し込められた大衆がいかにルールを無視した「本質的な暴力」に対して無力なのか、本作はそれらを無情に炙り出してくる。日常に対する鬱屈を抱えている人間でも、身内には不満をタラタラ垂れ流すような人間でも、あのチンピラ達の前では何もできずに翻弄されるだけになるんだよな。理性や秩序の中で生きる社会人にとって、破壊的な真の暴力は途轍もない劇薬だということが余りにも解る。

淡々と描かれるチンピラの凶行からギラついたBGMのタイトルバックへの移行する流れでグッと引き込まれるし、そこから登場人物達の紹介がテンポ良く描かれる流れが素晴らしい。彼らの生活や人物像が端的に描写されるおかげで全員しっかりと記憶に残るし、誰もが複雑な事情を抱えていることも後に訪れるであろうサスペンスへの不安感を煽る要素として機能している。

チンピラ二人が再び登場する中盤からはサスペンスとして一気に加速。彼らがとにかく傍若無人に振る舞い、乗客達の中で痺れを切らして声を上げる者が時折出てくる。でも結局は何もできず、あるいは逆に煽られて乗客同士で醜く争って、周りの人間達も事なかれ主義を貫き、チンピラ達はゲラゲラと笑い続ける……そんな流れが延々と続く緊張感と不快感は凄まじい。

最後の最後にチンピラを制圧したのが彼らと同じ暴力であり、その暴力による反抗を目前した人々は「ただ唖然と傍観」していたのも印象的。そうして事態が解決して誰もが疲れ果てた様子で立ち去っていくラストの後味も苦々しくて秀逸。「自分にできることは?」「たくさんある」という掛け合いが本作の風刺を物語っている。

個人的に登場人物の中で印象的なのは白人を憎む黒人男性。彼は奥さんへ白人に対する暴力的思想を語り、いざチンピラが現れたら「白人達が虐められるのを見たい」という理由でニヤニヤと傍観を決め込む。あれだけ白人を叩き潰すことを語っていた彼が白人のチンピラに自分の思想を投影し、自分が絡まれる番になるまで当事者意識が皆無だったのが印象深い。警官が駆けつけてきた時に真っ先に彼が取り押さえられた描写にも時代性を感じる。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

5.0
「ある戦慄」
大好きな不条理サスペンスで多くの人に貸して、高評価を得てる私のお気に入り映画。密室と化した真夜中の地下鉄で繰り広げられる戦慄を乗り物と言う空間で存分に映し出される暴力描写はトラウマそして胸糞悪い気分に…。孤立恐怖やグラホテ形式、ゲリラ撮影までした本作は見応え100%だ!
窃盗を常習している二人組のチンピラが、夜行列車の乗客たちを脅迫しようとする。深夜のニューヨークを舞台にして、列車乗客の人間模様を描いている、サスペンス・ドラマ。原題のincidentは「重大事件に発展する危険性をもつ出来事」を意味する言葉。

前半部は、多様な境遇に置かれている老若男女が次々と登場しては、二人一組となって夜行列車に乗車していく展開。各々の交わることのないドラマが、まるで散文詩のように描かれていく。

後半部になると、本能に忠実なチンピラが恐喝行為を開始。善意を取り繕ったり、対岸の火事を決め込んだりする乗客の姿を描写しながら、列車内に社会の縮図を創り出していく手法が取られている。

残業などで最終電車を何度も経験していると、何かしらのあるあるネタを発見することが可能。カリカチュアされた風刺劇として単純に楽しむことができるが、車掌の存在が反故にされているのは、さすがに無理がある。
人の嫌な所をわざわざ映像化して見せつける作品。
言わんとする事は分かるけど、わざわざ言われたくはない。
真面目に・・・
やっぱり、”普通に“映画を観るからには、そこに”救い“を求めたいじゃないですか? 皆さんはどでしょ?

だとしたら、本作は”アウト“です
まぁ、観てくださいな
ヒルコ

ヒルコの感想・評価

3.0
タイトルバック超カッコいい。さて乗客の中で誰が一番クズかと考えると、フィリックスとじいさん以外の男が、もうね。この中の夫婦は全員離婚だよ!でも結局みんな、自分さえ良ければ良いと言うのが、最後のエンドロールで殊更に強調されます。この映画を観る我々も例外でなく、単なる傍観者としてちゃんとキャスティングに組み込まれているので、胸糞の悪さはひとしおです。
ゴマ

ゴマの感想・評価

4.0
チャーリー・シーンの父親である若き日のマーティン・シーンがチンピラ役や「アラバマ物語」で暴行容疑を受けて裁判にかけられる黒人青年役を演じていたブロック・ピーターズが出演している。深夜の列車の中で酔っぱらったチンピラ二人組が繰り広げる暴力とそこに偶然乗り合わせた乗客との緊迫感溢れる駆け引き。人生悲喜こもごもの乗客と執拗なチンピラ二人組との戦い。音楽のない静かな画面の中、乗客が次々に降りていく場面からの泥酔おっさんの寝姿のラストカットが印象的。
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