q

ファウンドのqのレビュー・感想・評価

ファウンド(2012年製作の映画)
4.0
「僕のお兄ちゃんは殺人鬼です」

●あらすじ
いじられっこマーティはある日、殺人鬼である兄のクローゼットで生首を見つけてしまう。ホラー好きの彼は、好奇心と鬱屈とした日々の逃避行動から、その生首をこっそりと眺める日々を過ごすようになるが....。

いつまでも続くイジメ、話の通じない両親、そんな不条理な状況を変えてくれたのは殺人鬼である兄だった。マーティの目に殺人鬼である兄の存在は救済者のように映る。
そして圧倒的不条理の前に屈服することしか出来なかったマーティは、兄の影響により次第に覚醒しだす。いじめっ子をぶん殴ってボコボコにし「次やればまた殴るぞ。地獄に落ちろ!」と啖呵を切る。暴力の行使はよろしくない事なのは百も承知だが、時として問題解消の最善策にもなりうる。


低予算なりにスプラッター頑張ってるけど、欲を言えばクライマックスのお兄ちゃんのガンバりをもっと見たかったなぁ。断末魔だけで想像させる意図も、マーティの一人称視点であることの意義も分かるけど(←後述)。
 
ホラー映画を観たら殺人鬼になる!!などとぬかす良識ぶったカテゴライザーの皆さんの言いたいことも分かるし、正論かも知れない(まぁ、ホラー映画を見て殺人鬼になるんじゃなくて、殺人鬼がホラー映画を見てるだけだと思うけど)。だが、この世界の正しさは一つではないことをご存知ないのだろうか。本作が一貫してマーティの一人称視点(主観映像という意味ではない)で描かれるのは、"その人の見てる世界でしか通用しない理屈"があることを観客に理解させるためです。よってこの映画又はホラーファンに客観的正しさを持ち出すのは間違いなのです。
ただ、このテーマならお兄ちゃんが主役の方が面白かった様な気もする。低予算なので仕方ないでしょうけど。

「モンスターは誰?」それはマーティの兄?父親?それともマーティ自身?否、「こんな体験は人を歪ませる」という台詞からも分かる通り、暴力の行使に必然性を感じさせるこの醜悪で腐敗した社会そのものです。
普段ホラー映画で憂さ晴らししている人には響くであろう作品でした。