いじめられっ子の少年マーティは、ある日ひょんな事から兄がクローゼットの中に人の生首を隠しており、更にその首が定期的に入れ替わっていることに気づいてしまう…というお話。
日常が唐突に非日常的なものに侵食されていくという設定は好みで、この映画の掴みもかなり良い。完全に主人公マーティの視点でのみ物語が語られるミニマルな視点も、周りで何が起こっているのか、誰が何を考えているのかが分からず、徐々に日常が壊れていく怖さがありありと伝わってくる。低予算的な小慣れてなさも、少年の未熟な視点にマッチしていたように思えた。
主人公と兄、両親の関係性が示唆される程度で殆ど描かれないので、ラストの展開にまで至る説得力がイマイチ感じられなかったのがちょっと残念。兄弟間の愛情みたいなものをもうちょっと描写してくれても良かったんじゃないかなと思った。逆に、劇中で流れるB級ゲテモノビデオ『ヘッドレス』はもっと短くても良いんじゃないかと。インパクトは強いけど、そこまでガッツリ見せんでもと言いたくなるレベルの長さ。
惨劇の後に不自然に誰もいない街中をふらつく兄と、とんでもない状況に置かれてもなお冷静に物語を語る主人公という最早シュールですらあるその画は、二人して非日常の世界に取り込まれてしまったかのような超越感があり、ここもまた良かった。
総じて、良いなというところと気になるところのせめぎ合いといった感じで、そういう不安定さもまた魅力なのかも…と思わせてくれる一作だった。
(2018.11)