真っ黒こげ太郎

ファウンドの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

ファウンド(2012年製作の映画)
5.0
切り株目的で気楽に観たのだが、ここまで重い話とは思わなんだ…。



「兄さんは部屋に生首を隠している…。」

いじめられっ子でホラー好きな11歳の少年、マーティ。
彼は家族の秘密を密かに暴いていた。
父親の隠したエロ雑誌、母親のかつての恋人の手紙、そして兄スティーブの隠し持つ生首…。
ある日、同級生にいじめられているのを兄に告白すると、数日後に隠し持つ生首がいじめた同級生の物になっていた!!!
更にその時のごたごたで、首の事を知っているのを兄にばれてしまう!!!
そしてマーティの人生は徐々に狂い始める…。



”兄の秘密を知った、いじめられっ子な少年”と”殺人鬼の兄”の兄弟愛と狂気を描いたヒューマンドラマ。

スプラッターホラーの掘り出し物を調べてたら見つけた本作。
何でも予算約80~100万円の低予算映画ながら海外で高く評価され、色んな賞を取ったらしい。
画像を検索する限り中々切り株も多そうなので観てみた。


そんな本作はホラーと言うよりは少年視点の青春ドラマ。
主人公の少年の目線で友人関係からいじめっ子のいじめ、そして周辺の環境に影響されて変わってゆく心情が丁寧に描かれる。

スプラッターな描写は驚くほど少ないし、テンポもゆったり目、映像もハッキリ言って自主制作レベルだが、丁寧でちょっと幻想的に描かれるドラマが面白く観入った。


スプラッター描写も数こそ少ないがかなり良い出来。
特に目玉を抉り喰らうシーンはかなりグロイ。
本作の最後のグロシーンも強烈だ。


しかし本作はそれ以上に、主人公の人生が狂ってゆくドラマが滅茶苦茶重い!!!
家族の問題やいじめ、それ絡みの友情の決裂や家族の崩壊。
そしてクライマックスのエグイ展開に救いのない病んだラスト…。


「今正気を失えば、ずっと戻ってこられなくなる気がするから…。」

「こんな体験は人をおかしくさせる…。」


お話的にはかなり面白い。しかしここまで精神的にクル話だとは思わなかった…。

賛否別れるのも頷ける出来だ。
好き嫌いが凄まじく分かれると思う。

因みに俺は本作、かなり好きだ。
だが観終わった後は底知れぬ位重い気分になった…。


クライマックスが唐突な気はするし、かなり胸糞悪くなる人もいると思う。
だがスプラッター描写に留まらず、少年の心情や狂い変わってゆく人生を丁寧に描き切っていた。
単なるスプラッター物にとどまらず、狂気に満ちたドラマとしてもしっかり作られた青春ドラマの力作。

かなり良い作品だが、正直言ってやみくもにオススメは出来ないと思う。
だが、スプラッターな描写に抵抗が無ければ一見の価値はある。
ただ観終わった後で鬱状態になるかもしれんので自己責任でどうぞ。
(因みに観終わった自分も結構落ち込んでます。明日休みなのに…w)