みおこし

透明人間のみおこしのレビュー・感想・評価

透明人間(2019年製作の映画)
3.9
天才科学者で資産家のエイドリアンからの束縛や暴力に耐えかねたセシリアはついに彼の豪邸から逃げ出す。幼なじみの家に身を寄せていたある日、エイドリアンの兄から彼がセシリアの失踪に打ちひしがれて自殺したと知らされるのだが、それ以降セシリアの周りで不可解な出来事が起きるようになり...。

公開当時話題になってたのに劇場に行けずようやく鑑賞。手に汗握る攻防、とはまさにこのこと。"いないはずなのにいる"って本当に恐ろしすぎる...!
誰もいないはずなのにタオルケットや食器が落ちる、動く。間違いなく誰かに触れられた、殴られた。でもそこには人の姿はなし。考えただけでぞっとするけれど、それよりも100倍怖いのがこの事実を誰にも信じてもらえないこと。個人的には透明人間の存在よりも、誰一人セシリアの味方がいないというのがもう怖くて怖くて最後まで辛かった...。それでも「自分は間違ってない」という信念のもと、必死に見えない敵と戦い続けるセシリアの強さに胸打たれました。『エルム街の悪夢』然り、「ヒロインのメンタルが圧倒的に最強」という、名作ホラー映画の共通点を新たに見つけた気がする(笑)。

直接的なグロテスク描写を最小限に、気配を消してジワジワと近づいてくる恐怖感...。H・G・ウェルズがおよそ125年前に手がけた古典作品をベースに、観る人全てを震え上がらせる強烈な一本!量産されるホラー映画戦国時代の中でも、異彩を放つ素晴らしい作品でした。
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