朝田

透明人間の朝田のレビュー・感想・評価

透明人間(2019年製作の映画)
4.1
予想以上に面白くて大興奮!邦題はB級映画臭さがプンプンするが、リー・ワネルの手腕は間違いなくA級クラスだと言える。舐めてはいけないやつです。透明人間という古典的なスリラーの設定をスタイリッシュなルックと繊細な音響設計で更新し、現代に甦らせている。今さら透明人間というありふれた異物の存在自体で怖がらせる事は不可能なのだということを踏まえて、今作は「狂人が透明人間になること」の恐ろしさにクローズアップしてるのがまず正しい。透明人間の造形を始めとするSF的なディテールのデザインだったり低音がスクリーンからビリビリ鳴る程効いたスコアだったりと、とにかく「音」と「画」のセンスが良くて、怖い以前にカッコいい映画。演出面においても脚本面においてもギャグに走らない姿勢が荒唐無稽な発想に説得力をもたせ、スリルを持続させる。この手のワンアイディア物のスリラーが陥りがちな単調さも小道具とシチュエーションを生かした恐怖演出の豊富さとヒネリの効いた脚本で二時間飽きさせない。息切れせずに最後まで走り抜ける。セリフ無しで進行する脱出劇から事の真相が明らかになっていく終盤までサービス精神満点。近年の「ゲットアウト」しかり「イットフォローズ」しかりこの手の本気で作ったジャンル映画は個人的に大好き。必見。
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