心底、恐ろしい映画だった。
ホラー、スリラー要素としても勿論、一級品なんですが、
「真実を知っているのは自分一人で、周りの誰に説明しても信じてもらえず、むしろ狂人扱いされてしまう」
そんな状況に追いやられた時の
冤罪の被害者になった時のような恐ろしさ。若しくは、セクハラやパワハラ被害者のような。
こういった現代的な問題意識を、透明人間という古典的な題材に巧みに盛り込んでいる。
カメラが誰も居ない部屋の一角を映す。
普通の映画なら何て事のないショットが「透明人間」が潜んでいる事を知る我々観客には全く別の意味を持つ。
「いるのか? どこにいるんだ?」と考えずにはいられない。
静寂と大きな効果音の緩急。
観客を怖がらすスペシャリスト達の手腕が冴え渡っている。
終盤以降の、真犯人が誰かわからなくなる展開も秀逸。
明らかに『ゴーンガール』からの影響を感じさせるショットや、「恋愛関係からの支配と被支配に至る関係」も盛り込んでいて楽しかった。
ホラー映画の最新版にして、一級品のヒューマンドラマでした。