竜どん

透明人間の竜どんのレビュー・感想・評価

透明人間(2019年製作の映画)
3.0
「透明人間」というと自らを実験台に後戻りの出来なくなった科学者の悲哀と狂気が描かれるコトが多いが、本作は「透明人間」の妻を主人公にその視点で展開。つまり「見えない」透明人間を「見る側」の視点で構成されている。加害者(透明人間)側の主観や情緒を一切表現していないのでそちらに感情移入すること無く、「見えない」恐怖を存分に味わうことが出来る。

ホラー要素強めの前半パート、VFXを殆ど使用していないにも関わらず音響やエリザベス・モスの迫真演技が不安感・不穏感を盛り上げる。特に余白を残すフレーム取りで「そこに何かいる感」を如実に感じさせるカメラワークが秀逸。
中盤外堀を埋める様に主人公を追い詰め孤立させていくサスペンスパート、後半正体を現した(現してないけど)敵とのアクション多めの対決シーンは緊迫感も高く手に汗握る。化学ではなく科学の力で不可視を体現してみせる透明人間設定も近い将来現実可能そうで面白い(ビジュアルはキン肉マンの超人に出てきそうだが…)。

ラスト主人公の理屈のみで執行される断罪は、善悪の判断を観客に任せる非常にグレーな描き方がなされていてハッピーエンドともモヤモヤエンドともとれるが結構好み。女って怖っえー。
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