madokaaa

透明人間のmadokaaaのレビュー・感想・評価

透明人間(2019年製作の映画)
4.0
え。めちゃくちゃ面白い。
これはおすすめです。

ホラー、サスペンス、SF、スリラー、、
ジャンルは何でしょう?

手掛けたのは『ゲット・アウト』『ザ・ギフト』『パージ』シリーズのジェイソン・ブラム。

安心&安定のジェイソン・ブラム。
この人の作品選びのセンスは神がかってますな。
単なるホラーで終わらせない、複線的な構成がお気に入りです。
上記作品がお好きな方は、気に入るんじゃないでしょうか。

透明人間なんて使い古されたモチーフを今さらどう調理されるのか…と全く期待していなかったのですが、これが超ハイセンスかつハイクオリティなサスペンスホラーに仕上がっておりまして。
あ、サスペンスホラーって言葉がしっくりきますね。

見どころとしては、このどうしようもなく八方塞がりな状況をどうやって打破していくのか、といった点だと思います。

特に、ヒロインが正気を疑われ周囲から孤立していく様が絶望的すぎて、、ああもうこれ誰が見ても正気を失ってるとしか思われないやつじゃん!からの展開がなかなか秀逸で、ほんと、最後の最後まで目が離せない展開です。

また、監督・脚本を手がけたリー・ワネル監督は空間の見せ方、音の使い方がすごく上手なんですね。
何もない余白空間をあえて映すことで、そこにエイドリアンがいるかもしれない恐怖感をじわじわ植え付けてくる。
計算された演出とカメラワークがスタイリッシュで、全体的に洗練された印象にまとめ上げています。

それから、主人公を演じるエリザベス・モスの演技が素晴らしかった。
精神的に追い込まれていく心情や絶望感、覚悟の表情など、台詞はなくとも繊細に演じ分けていて、余計に惹きつけられました。

透明人間と化した元カレの女に対する執拗なまでの執着心。
姿が見えない異常者の圧倒的な恐怖。

とりあえず導入から惹きつけられる展開で、そこからの2転3転する構成にぞくぞくすること間違いなしです。

古典的なモチーフを見事に現代的に蘇らせた監督に拍手。
そのへんのB級ホラーとは一線を画す、良質なホラーサスペンスに仕上がっております。
参りました。
madokaaa

madokaaa