20年越しに『トレインスポッティング』の続編が公開されるなんて。ファンからしたらこれほどのサプライズはないでしょう。監督は前作に引き続きダニー・ボイル。出演陣は20年の時が経ったように感じさせないほど姿そのままでした。
前作のシーンを交わらせながら展開するストーリーは、ところどころで痺れさせられました。レントンがヤク中で警官に追いかけられ、車のボンネットに手をつき不気味に笑いかけるシーンに倣ったシーンを今作で見られますが、そのときのレントンの顔にはあの時のヤクに溺れたようなクレイジーさはなく、ただ中年男が追いかけられてるある意味でのクレイジーさはあります。20年前のことを思い出して、人生を楽しんでいる、再びエディンバラで青春を感じているように見えます。
今作で4人は大人になった一面を見せてくれます。皆家族を持って、家族との確執に苦しみます。特にスパッドは家族との別れから、クスリを断とうと心に決めます。シックボーイやレントンがヤクをやっている横でも三角座りをしながら必死に耐えていました。前作から素っ頓狂な表情をする愛嬌のあるキャラクターでファンからも親しまれていますが、今作では彼の隠れた才能を見られます。イギリスには山がほとんどないので、丘と言って良いと思いますが、レントンとスパッドが丘にランニングしに行くときのスパッドの走り方がツボすぎでした！何十年もヤク漬けだったので体力が全然ありません！また、ベグビーはまだ暴力的で野蛮な性格でありますが、最後には息子のことを理解し、こんな奴でも父親の一面を見せてくれるということに感動しました。
ダニー・ボイルの映像感覚。初めにレントンが父親の元を訪れ、チェアーに座っているシーンは陰でもう1人座っているように見えます。息子が大好きな亡くなった母親が座っているのではないかと感じました。レントンの部屋が伸びて行くエンディングの持っていきかたも好きでした。
