わきお

T2 トレインスポッティングのわきおのレビュー・感想・評価

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)
4.0
現実世界と同じ20年もの歳月を経ても大人になりきれない大人はどれほどいるのだろうか。

若い頃の楽しかった思い出にすがっても、冴えない人生を好転させる力はない。T2が前作と異なる点は、彼らが依存している対象がクスリから思い出へと変化していることだと思いました。
トレインスポッティングの代名詞とも言えるdopeな映像世界、ダニー・ボイル監督が得意とする手法だが、今作ではクスリ絡みで使われている場面が少ない印象だった。むしろ、前作の印象的なシーンに時間を割かれていたと思いました。

依存の対象が思い出とするならば、当然クスリと違って違法性はないし、誰でも依存になる可能性のある代物だ。
依存しながら生きていけるチャンスを得ながら敢えて手放した彼らの良心にホッとするも、依存から抜け出したところで人生は決して好転しない。前作とは異なる希望の見えないバッドエンドに思えるが、存外思い通りいかないのが人生である。
途中から自己投影して見始めたためかなりグッとくるものがあった。

特に前作を20代の頃に見たファンにはたまらない作品なのではないかな。
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