実は本作の原作と脚本は2002年、つまり前作が公開されてから5年後には完成していた。
しかし、様々な理由があるものの特に監督のダニー•ボイルと主演のユアン•マクレガーの不仲などが原因で公開まで21年もかかってしまった。
スタジオの意向とはいえ、ダニー•ボイルはスコットランドで一番汚いトイレに沈んだユアン•マグレガーではなくタイタニックと沈んだレオ様を「ザ•ビーチ」の主演にキャスティングしてしまったのだ•••彼が怒るのも仕方ない。
しかし、彼らは全員帰ってきた。
それだけでも素晴らしい作品ではないか。
疾走感溢れる編集やイギー•ポップやフランキー•ゴーズ•トゥ•ハリウッドなどを中心としたセンスの良い選曲は相変わらずだが、本作は原作に大胆な脚色を加えることでその21年という長いスパンを武器に変えてみせた。
20年ぶりの再会を果たしたレントンたちの相変わらずのクズっぷりは清々しいが、本作には前作ではなかった時代に取り残されていく"哀愁"が全編にこれでもかと漂っている。
人々はSNSの中毒となり、男性中心の社会から男女平等社会へと姿を変えていく。
自らの不遇を恵まれない社会のせいにしてがむしゃらに駆け続け、未だに生き方を変えることのできない彼らの姿は正直痛々しいが、だからこそそれでも足掻き続ける彼らの姿に心を打たれ勇気が湧いてくる。
ベグビーに追い回されるレントンが車の窓越しに見せたあの頃と何も変わらない汚い笑顔には、前作から彼らを見守り続けたファンならきっと頰が緩むはずだ。