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3月のライオン 後編のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3月のライオン 後編(2017年製作の映画)
4.1
【「男はつらいよ 三日月の福福達磨」】
映画化不可能案件「3月のライオン」。
前編は、思いの外面白かった。実は後編は、観る前まで不安でもあった。前後編スタイルは外れが多く、また本作の後編は2時間20分もある為、「これはダメだろうな」と思った。

しかし、この後編は、前編のダメな箇所を伏線として使うことでトンデモナイ傑作へと昇華させていた。

まず、原作の特徴上、映画では推奨されない試合時の独白描写を沢山入れないといけない。確かに前編では抑えてはいたものの、過度な感情表現は気になる。しかし、後編では何度か試合シーンで感情独白描写がなくなる場面がある。そう、桐山零の心の成長を表す為のエッセンスとして、独白描写を消し去ったのだ!これは映画にしかできない演出で、大友監督のきらりと光る一手であった。

ここでは、そこまでの言及にしておくが、
あと一点これだけは言わせて欲しい。

真面目に「3月のライオン」は「男はつらいよ」番外編だ。タイトル付けるなら、「男はつらいよ 三日月の福福達磨」(前編は「男はつらいよ 三日月の諏訪博」)としたい程「男はつらいよ」だった。

朝日印刷時代、とらやを見て育った諏訪博が三日月堂という和菓子屋を開き、三姉妹の面倒を見る。次女が学校でイジメられたり、風紀を乱す「奴」がやってくるなど家庭内トラブル発生しようとも仙人のような眼差しで対応する。そう、前田吟、いや諏訪博の一言一言に「男はつらいよ」48作品の重みがあった。

ってことで、私は頑張って今年のベストテンに入れたい。観る人は選ぶが心にジーンとくる傑作だった。
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