ディー

3月のライオン 後編のディーのレビュー・感想・評価

3月のライオン 後編(2017年製作の映画)
4.7
誰もが「何か」と戦い、苦しみながら今を生きている。
人が抱える苦しみや孤独。それらを伝える事が難しい人の不器用さや、それを理解する事の難しさ、「人間らしさ」がそれぞれのバックグラウンドを描く事によって、よく表現されていたと感じました。
そして何より、個人的に物語と重なる部分が多くて、見終わった後に温かく包まれる様な、救われた様な気持ちになった不思議な映画でした。

「生きる為の将棋」は彼を強くし、そして彼の生きる道を形作っていく。
しかしその過程で彼は人の何かを奪い、失わせてしまう。
「どうすればいいんだよ」という言葉はとても悲痛で、やるせない。
しかし、この作品の大事な所は「どうすればいい」と悩み苦しむ彼を救いうる人々が登場する事に気付く、というプロセスではないだろうか。
そしてこれは我々にも当てはまる事で、辛くて周りが見えなくなった時に「一人じゃない」と背中を押してくれる存在を忘れてはならない。そして自分も誰かを救っているという事も忘れてはいけないという事を教えてくれる。

俳優陣と画作り、音楽、映画の「雰囲気」がとても良かった。
ただ、少しだけ詰め込みすぎ?
逆にとことん長くしてしっかりと描くか、スッキリさせても良かったのではないだろうか。


図らずとも誰かの何かを奪いながら奪われながら、図らずとも自分の存在が誰かを救い、誰かに救われながら我々は存在しているという事に気付かされる、愛に溢れた映画でした。

原作見ないと。
ディー

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