TA

暗黒街のTAのレビュー・感想・評価

暗黒街(2015年製作の映画)
4.0
主人公が撃たれるシーンの彼女の悲しみの演技に持っていかれてしまった。

愛する人が殺されているのを目の前で観ながら、自分の身は守ろうとするシーン。

あのシーンは、相手を見捨てて自分の身を守ろうとしてる冷酷さではなく、今すぐにでも助けに行きたいが、行った所で自分も殺されしまう。だから自分の身を守るというなんともアンビバレンスな感情を表現している部分が良かった。


そしてラスト、入り組んだ社会背景と組織を構築しながら進んでいくストーリーのキーマンになる男=自分の愛する人を目の前で殺した男を、躊躇なく殺すシーン。


どれだけ複雑に入り組んだ事を考え、政治家への根回しや、賄賂、脅迫をしたとしても、1人の女の、真っ直ぐで愚直な憎しみによって全てが終わる。


人間は、どんな高尚な理屈よりも、一つのシンプルで強い感情が勝るという事を感じた作品でした。
TA

TA