いずみたつや

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグのいずみたつやのレビュー・感想・評価

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小汚いチンピラのオッサンがヒーローに!という夢に溢れたおとぎ話なのですが、オッサンの粗暴っぷりが生々しいところが、ハリウッド製のヒーローものと一線を画すところです。

だって見てくださいよ、あの走り方!!!
100歩譲っても運動音痴なのが一目で分かる、なんて無様で見苦しいことか。

戦い方も乱暴そのもので、とりあえず腕をブン回して体当たり、という読んで字のごとく"怪力バカ"。

でも、そこが良いんですよ!"誰かの為に"という真っ直ぐな思いが乗り移ったような走り、パンチ、体当たり…。"運動会で頑張るお父さん感"というか、思いに体が追いつかないけれど、それでも立ち向かうというところに目頭が熱くなるものがありました。

ところで、先日起きたアリアナのライブ会場での痛ましいテロの際には、近くにいたホームレスの男性たちが、被害者を懸命に救助する姿が話題になりました。
阿鼻叫喚の中、必死に負傷者を手当し、ある女性は腕の中で息を引き取ったという話は本当にショッキングです。

足がすくんでしまうような光景を前にしての彼らの勇気ある行動を、フィクションと結びつけて称賛するのは扇情的で好きではありませんが、「鋼鉄ジーグ」はまさにこういうことを描きたかったのではないでしょうか。

ジーグはあなたの隣にいるかもしれない。そして、思いやりと勇気があれば、誰もがジーグになれるはずだと。