日向日向

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグの日向日向のレビュー・感想・評価

4.0
意外と王道

WOWOW放映をずっと待ち望んでいたため、漸くと思いながら鑑賞。これが結構いいんだよね。

筋書きとしては至って普通のヒーローの誕生譚を描いている。だが、エッツィオの人間性をかなり入念に描いたことで今までにない異色な作品っぽい雰囲気を出すことに成功している。
エッツィオ自身、中途半端な生き方をしているように序盤では描かれているのだが、能力を得てからいきなり正義に転じるのではなく、得た力でやることもなく、とりあえず悪事を働くというのがいい。
1時間程みっちりと悪の側面を描き、心が壊れたヒロインとの出会いと交流、そしてある結末を経て、クライマックスでようやくヒーローとしてのエッツィオが誕生する。
よくできたヒーロー誕生譚だ。敵の印象はかなり薄いが、ヒーローものとして、ヒーローを立たせるいい役割を持っていたからそれもまた好感触だ。

そして、最近のヒーローとは違い、筋肉質でない小太りした体形なのもまたまた斬新だ。
最近のは何かと筋骨隆々で、アクロバティックなアクションに頼りがちだが、これはそれとは全く相反している。若干の肥満体型なため、跳ねたり走ったりなんて器用なことはできない。
だからこそ、腰を据えておもい一撃を相手の脳天にぶち込むのだ。多少のダメージなんて気にしない、ずっしりとした戦い方が彼の生き方と調和していたため、鈍重ではあるが見ごたえたっぷりの出来栄えだった。

本当によくできた、少しダークではあるが、原点回帰したヒーローものであると思う。
ストーリーを凝り繰り回さなければウケない風潮が強い昨今のヒーロー映画界だが、それに逆行する形のものを作り出し、尚且つ現在の風潮を色濃く影響させた作品に劣らない出来をした今作、胸を張って宣伝できる傑作だった。
タイトルじゃ、傑作か否かはわかんないもんだね。
日向日向

日向日向