whiskey

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグのwhiskeyのレビュー・感想・評価

3.0
地味だけど楽しめた。良い感じのB級映画。

アニメ「鋼鉄ジーグ」なんて、内容は全然覚えてないけど、じつはイタリアでは大変な人気らしいです。

本作の主人公はいい歳のおじさんで、未だに下っ端のチンピラマフィアをやっている。たまたま川底に沈めてあった放射性廃棄物に身体が汚染され、そのせいで超人的な力を得る。
SF的な設定はそこだけ。本人に想像力がないので、怪力をATM強盗に使って、得たお金でカップヨーグルトとアダルトDVDを大量に購入する。ヒーローとは程遠い(のが良い)。

敵役は同じくマフィアの下っ端で、ルックスだけは相当に美形の若い男。子どもの頃にテレビ出演したことが未だに人生唯一の自慢で、今は自分の動画がyoutubeで人気になることを夢見て、偉大な悪党になろうとしている。しかも主人公の強盗動画がネット上で人気になったのを逆恨みする。小物感と狂気性。顔が美形の異常者っていう設定は面白いと思った。結局、主人公はこいつと戦うハメになる。

ヒロインも良い。それほど若くはないがとてもきれいな女性。少し心を病んでいて、なぜかアニメを見まくり、鋼鉄ジーグの世界観を生きている。自分を救ってくれた主人公をジーグ=司馬宙(シバヒロシ)だと思い込み、その力を正義のために使ってと繰り返し言う。頭が弱く立ち振る舞いは幼女のようなので、放って置けない。彼女の存在がとても良かった。

彼女の言葉通り、主人公は初めて人のために生きようと決める。サイズ感は小さくても、自分のいる風景の中でちゃんとヒーローとして生きる。

アクションとかはショボい。でも、ほんの少しのSF的な設定と、3人のキャラクターの存在感だけでストーリーがそれなりに面白く展開する。演出が良いのかな。日本でも撮れそうな作品なので、こういう日本映画を見てみたい。
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