そらじ

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグのそらじのレビュー・感想・評価

4.4
Twitterで中々評判が良かったので。
とても良いです。まず、登場人物に完璧、というか、正常な人が全く居ないのが魅力的。主人公のエンツォはAVを大量のヨーグルトを食べながら視聴し、万引きをして警察に追われる日々。そして超能力を手に入れた後も暫くはATM強盗をするなど軽度のクズ。ヒロインのアレッシアは母を失い、更には男性の欲望を満たす為に道具として扱われた過去があり、病んでいる為アニメの『鋼鉄ジーグ』の世界観に浸る事で正常を保っている。悪役のジンガロは、目的は世界に注目されたいだけで、マフィアの下っ端でやる事は全部空回りの癖にイキっているために人望を失っていくただのドクズ。と、ヒロインは過去が悲惨すぎるので仕方ないですが、とにかくマトモな登場人物が居ません。なのに、惹かれる。人物の描き方はそこまで丁寧でも無いんですが、どこか惹かれるんですよ。多分人物像のわかり易さによる産物だと思うんですがね。
で、特筆したいのは内容自体ですよ。エンツォのヒーローとしての誕生、成長、挫折、覚醒を非常に丁寧で魅力的に描いています。落ちこぼれでクズなチンピラのエンツォが人を救うため、立ち上がる。もう胸熱以外のなんでもないじゃないですか。胸熱と言えば、演出も素晴らしい。冒頭でエンツォは、自分の為に走るものの最後は人の為に走る。このエンツォの人としての変化を演出で粋に描いているのはもう凄い。

最初は題名がダサいしどうせB級だろ、って思ってましたが全然そんな事ない。観終わったあとはこの題名がいかに素晴らしいかが分かるし、ヒーローとしてを丁寧に描いている本編に魅了されます。ヒーロー映画の名作ですよ、最高。
そらじ

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