このレビューはネタバレを含みます
【 愛をモテあそんだ罰 】
邦画史上最高峰の衝撃を味わった。
陳腐な表現だが、この世の尊きものの一つに、“愛”が挙げられると思う。もちろん根拠はない。ほとんど直感である。
田向や夏原が悲惨な目にあったのはなぜか。それは愛をモテあそんだからに他ならない。地位や権力、世間からの目に愛を賭け、周囲を失望させたのだ。自分たちの“愚行”が最後に還ってきた、ともいえる。
しばしば、愛されてこなかった人が同じように、周りを愛せないという展開を目の当たりにする。本作に限っては、その時の大人の性欲や承認欲求が優先されて生まれた武志や光子がそうであった。愛が結果を得るための手段となっていたからだ。ふたりの兄弟には何ら責任がないということが更に心を痛くする。
いかなる原因や境遇があろうとも、愛を蔑ろにする報いを受けなくてはならない。いまは世間や社会的な話ではなくて、この世の真理の話をしているからだ。
p.s. 「これが愚行録でした」と言わんばかりに最後にタイトルが出るのはさすがに深い。
小出恵介さんの嫌な表情、好きだ。満島ひかりさんや松本若菜さんは、悲劇的な境遇でも観ていてウットリしてしまう。いずれも不謹慎であることは承知である。