うめ

愚行録のうめのレビュー・感想・評価

愚行録(2017年製作の映画)
3.9
ギリギリ観に行けました!

一年前に起きた田向一家惨殺事件。
ネグレクトにより収監された妹を持つ記者田中が事件を追う。

W大とK大をモチーフにしていると思われる有名大学出身の田向夫妻。
それぞれ関係の深かった人に取材していくうちに見え始める2人の姿。
内部と外部による進学形態…そこに潜む羨望、嫉妬、そして侮蔑。
ぶつかりあうエゴとプライド。

並行して語られる田中と妹みつこの過去。
満島ひかりの醸し出す狂気…
それは、二階堂ふみのような剥き出しのものではない。
なんだろう…まるでブラックホールのように底が見えない中に呑み込まれていくような瞳。
無重力に放り出されるような心細さと恐怖を感じさせる。
そして、妻夫木聡の目に宿るのは虚無。
時折、見せる感情の揺らぎ。
そんな兄と妹を撮るジメジメしたカメラワークと色合いが…嫌な感じを煽る。

小出恵介、臼田あさ美のインパクトもなかなかありましたね。
それ以外のキャストも一癖も二癖あって、正直嫌なヤツばかり(^^;)

その人が感じる事が、その人にとっての真実になる。
だから、人の数だけ真実はある。
人が自分の存在を疑わないように、自分の真実を疑う人もいない。
だからこそ、人は誰しも愚かなのかもしれない。
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