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彼らが本気で編むときは、のペインのレビュー・感想・評価

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)
4.3
荻上直子作品初鑑賞。

公開年の邦画ベスト10なるもので多くの映画好き、映画雑誌がベスト10に入れており高い評判を聞きつつも、私のなかではどうしても荻上作品への勝手な偏見、食わず嫌いがありようやっとの鑑賞。

代表作『かもめ食堂』『めがね』等の作品を未だ観ていないので偉そうなことはあまり言えない辺りではあるが、他の方もレビューで書かれていた通り、本作『彼らが本気で編むときは、』はこれまでの荻上作品のテイストとはまるで違うとのことで、それもあってか余計な偏見は一切取っ払え、純粋に無茶苦茶丁寧に緻密に作りあげられた傑作と思えた。ベルリン映画祭での高い評価も頷ける1本。

観る前はもっと説明過多な演出や、お涙頂戴な内容をイメージしていただけに、それは良い意味で裏切られ、冒頭5分のほぼセリフのない全く無駄のない簡素な語り口で傑作と確信できるほど。

ウェットになりすぎないように随所にポコチンネタやパイオツネタを放り込んでくるあたりも無茶苦茶信頼できるし、一周回って上品。

役者陣も皆、過去ベストアクト級の輝きを放っており生田斗真に関しては間違いなく彼の代表作だと思う。もっと見るに耐えないトランスジェンダーのキャラになると思っていたが相当な名演だと思う。子役の柿原りんかちゃんも素晴らしいし、小池栄子も『接吻』同様に不気味さが絶品。桐谷健太は正直、よくも悪くも顔やキャラが濃くてベロベロバーの人なので作品の雰囲気を崩しかねないか心配だったが本作ではかなり抑制を効かせた演技をしていて舌を巻いた。彼も過去ベストアクト級だと思う。
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