母親に半分育児放棄されているトモ。
慣れた様子で叔父のマキオの家に行くと、そこにはマキオの恋人だというトランスジェンダーのリンコがいた。
母以上に自分に愛情を注いでくれるリンコに戸惑っていたトモだったが、少しずつ心を開いていく。
まず、生田斗真の演技の振り幅に驚かされる。
身体はわりとがっしりしていて、手も大きい。だけど表情も話し方も仕草もやさしげで、背筋はいつもぴんと伸びていて、とてもとてもきれいだと思った。
「身体は男性、心は女性」そのものだった、気がする。
母になれない女、
母に愛されない娘、
うまく子どもと向き合えない母、
母に理解されない男の子。
それぞれの翳りがふと見える瞬間が、もう痛くて苦しくてたまらなかった。
最初はリンコに対して心のシャッター全閉じだったトモが、やがてリンコのために泣いたり他人に怒ったりするようになるのが尊くて愛おしい。
どうか、この短い時間を宝物のような思い出にして終わらせるのではなくて、トモにはこれからも、リンコの美しい心に触れていてほしい。家族のような、友達のような、そんな関係であってほしい。
トモがリンコにお料理を教わって、母と一緒にキッチンに立つ、、みたいな想像まで勝手にしてしまった。
「リンコさんのような心の人に惚れたら、あとのいろいろなことはもうどうでもいい」
マキオのこの台詞も潔くて好きだったな。