なっこ

彼らが本気で編むときは、のなっこのレビュー・感想・評価

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)
3.3
感情を爆発させず内側にある情熱をしっかりと想像させる。そのとき愛は、こんなにも美しく静かで穏やかな海のような顔をしているものなのね。

家族ってなんだろうね。
男であること、女であること、父であること、母であることの迷い悩み、うまく役割を演じきれない自分自身。
難しい性自認の問題を前思春期の少女の目線を採ることで上手く描いている。最初に感じる見た目の違和感、戸惑い、理解、そして無視できなくなっていくその人を傷付ける社会の在り方。

性自認も性的指向も個人の問題でしょ。
そうやって切り捨ててはいけないのだ。私はリンコの苦しみを全然理解していなかったと、リンコの子ども時代の回想シーンで思い知らされる。

丸ごと受け入れる、あなたは私の子どもであることに変わりはない、と。リンコの母親のような愛を、わずかばかりでも持つことが出来たなら、変わっていけると思う。
見た目の性、好きになる性が他の多くの人と違っていても、その人を同じように誰かを愛する人間として扱うことが出来ないのなら、問題は彼らの方ではなくて、社会の側にあるのだ。

いろいろと考えさせられる。けれど押し付けがましくは、ない。
きっと誰にでも何か気付きのある映画だと思うから、多くの人に見てもらいたいな。
なっこ

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