このレビューはネタバレを含みます
荻上監督といえば、シネマハスラーでの酷評もあったし、アンチが多いイメージで、実際自分も、かもめ食堂、めがね、トイレットを見たことがあるのですが、どれも好きな方にはもうしわけないですが、苦手でした。
他者の不在、ヌルさ、現実感のなさ、押し付けがましさが嫌味に感じたり。
正直今回もまったくみる気なかったのですが、とても良い評判を聞いたので、見てみました。
結論からいえば、とても良かったです。
先ほど述べた荻上作品の欠点を今回はほぼクリアしてきてる感じがして、単純にすごいなと。
リンコが編んでるのはチン◯っていうのも、荻上アンチにケンカ売ってる感じで痛快でした。
そこはふざけないでも良かったかな?と思うところもいくつかあったけど、照れ隠しとも思えたし、そこまで気になりませんでした。
物語としても今回は誠実さを感じた。
小池栄子、ミムラをもっと嫌な奴にできただろうに、完全な悪人として描かないバランス感覚も好きでした。
リンコがタクシーの前でトモを見送るあのシーン完璧ですよね。涙なしでは見れない…
荻上監督はどんなにアンチに叩かれても、”グッとこらえて”作品に向かい続けた。そしてこんな傑作を作り出して、元々アンチだった自分のような人間の心も動かした。単純にすごいな、と思います。
荻上監督の優しさと強さの結晶みたいな、美しい作品でした。