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彼らが本気で編むときは、のKittyのレビュー・感想・評価

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)
3.7
諸外国に比べてLGBTに対する理解が低いと思われる日本において、「Close-knit」という切り口から、私たちの身の回りのテーマとして、性的マイノリティについて前向きに投げかけてくれる作品。

Close-knitとは、Close-knit Familyのような使われ方をする英語で、「しっかりとした結びつき」という意味。

トランスジェンダーのリンコ(生田斗真)、育児放棄された少女トモ(柿原りんか)、リンコの恋人でトモの叔父のマキオ(桐谷健太)の3人が、家族のようなつながり(Close-knit)を作っていく。

3人のつながりは、男であるか、女であるか、親であるか、子であるか・・・という前に、人と人との関係として描かれている。

社会からの偏見や、言われない差別に対して、リンコは悔しい気持ちを編み物(knitting)に込めることで落ち着かせていく。(しっかりとした網目という言葉もClose-knit)

心優しいリンコの姿に、トモとマキオまでもが編み物に加わり、3人は、人間の煩悩の数である108個の「ある作品」を編み上げる。

お互いに寄り添いながら心のつながりを強める3人の周囲に、様々な人物を登場させて、性的マイノリティに悩む人と社会との関係を描くことで、「どうあるべきか」という正論を押し付けるのではなく、「今の自分は誰の立場に近いのだろうか」と、自分自身の内面を見つめさせてくれる。
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