ちりぽり

92歳のパリジェンヌのちりぽりのレビュー・感想・評価

92歳のパリジェンヌ(2015年製作の映画)
4.5
自分の安楽死の決行日を、家族に告げるところから物語ははじまる。

立派なおばあちゃんだ。
プライドを持って、自分の人生の責任を最後まで持とうとする。

それも、しっかりと丁寧な後始末。
自分勝手に命を絶つのではなく、遺される人たちに理解してもらえるように心のを砕く。
遺品の整理も、ひとつずつ渡す相手を選んで、丁寧に包んで、ひと言添える。

家族は当然動揺するけれど、結局は理解して最後までの日々を濃いものにしてくれた娘がいたことは、彼女の大きな財産だ。

通いのヘルパーや、隣人の黒人青年や、今も手紙の交換をする旧知の男性や、そういう人たちも、彼女の人生の財産。

豊かに生きた人ほど、その人生の始末は大仕事なのではないかと思えた。

個人主義の国フランスらしいといえばそれまでだけど、やはり日本ではこうはいかないなあと思う。

最近話題の『プラン75』のような、制度として考えるのが日本人。
しかも『プラン75』の老人は身寄りのない独り暮らしのケース。
この作品のほうが、逃げてない。
ずっと奥が深く、安楽死問題を真っ向から考えている。

で、エンドロールまできてから
「実話⁉️」
って知った。マジ、すごい。
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