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92歳のパリジェンヌのyochinoirのレビュー・感想・評価

92歳のパリジェンヌ(2015年製作の映画)
3.5
実話をもとにした尊厳死がテーマの映画。
いままで、病気や事故でからだが不自由になり尊厳死を選ぶ映画をいくつか見たけど、この映画は自然に年老い、できないことが増え、92歳の誕生日に2ヶ月後に逝きますと子供達の前で宣言するおばあちゃんの話。

尊厳死を宣言したマドレーヌと家族の葛藤。絶対に許容しない息子。迷いがありながらも母にとって自分にとって充実した日々を過ごそうとする娘。純粋におばあちゃんが好きな孫。それぞれとのやりとりが見どころかな。
それとマドレーヌには夫以外に愛する人がいて、会えなくなった今でも愛し合っていたこと。

仕事、家族、恋愛、活動家としての一面。女性としてマドレーヌはきっと精一杯生きてきたんだろう。
だからこそ、自分の死に対してもきちんと向き合い考え、自分の意思とは関係ない死を迎えたくないと思ったんだろう。

尊厳死については答えが出せないけど、生きることについて考えさせられる。
そして、この映画では自分だけじゃなく自分の親の老後について考えさせられた。

自分と母親に置き換えた時、どんな状態になっても母には生きていてほしいと思うけど、生き方や人生を子供なりに振り返ると、母の中にも尊厳死という選択肢はあり得るなとおもった。

一生懸命仕事を続け、引退後もダンスやバレエ、絵を描いたり、短歌を詠んだり、友達と登山やスキー、旅行にでかけたり、そんな母が、機械に生かされている自分に納得できるのだろうか。
そして、私自身も母らしさをそこに感じるんだろうか。

医療が発達した現代では自分の死も生き方に含めて考えていかなくてはならないのかもしれない。
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