マーティT800IMAX

92歳のパリジェンヌのマーティT800IMAXのレビュー・感想・評価

92歳のパリジェンヌ(2015年製作の映画)
4.5
尊厳死。

難しい。
これは、難しすぎる。
もし、自分の親がマドレーヌみたいに


「気力のある内に死にたい。私は2ヶ月後に逝きます。」


と言ったら、受け入れる事が出来るだろうか( ; ; )

とりあえず、まず反対すると思う。
でも、本人の意思が固く考えが変わらなかったら?

その時は、どうするだろう。


観てる時はずっと涙が止まらなかったんだけど、とても不思議な涙でした(・_・;

悲しいとは、少し違う。
感動という言葉も当てはまらない。

なんで、俺は泣いてるんだ??
と、今でも説明できない💦






※以下ネタバレ※





今作品は、実話を元にしたフランスの映画です。
元助産師のマドレーヌは、92歳の誕生日会に集まった家族に向けて、2ヶ月後に死ぬと宣言します。

突然の発表に唖然となる家族。

実はマドレーヌは、すでに1人で出来なくなった事リストを書いていました。


入浴、着替え、階段を上る、荷物を持つ、
そして、車の運転、、、。


その1つ1つが、彼女の人としての尊厳を奪っていくのです。


気力のある内に死にたい、
病院では絶対に死にたくない。

と、彼女の意思は固い。

彼女の娘と息子は、孫も含めて複雑な思いを胸に日々が過ぎていきます。

恐らく、マドレーヌは子供達に介護などで迷惑をかけたくないという思いがとても強い人なんだと思いました。

しかしADL( 日常生活動作)の低下が著しく、要介助レベル。火の元の管理もままならない、室内歩行がやっとの92歳の彼女は、一度施設に入るんだけど夜間に失禁し、オムツをはかされることになる。


娘に、オムツ姿を自ら見せたシーンが決定的でした(>_<)
マドレーヌの尊厳を奪うには、十分な出来事やと思います。

娘のディアーヌは、施設からすぐにマドレーヌを連れ出して介護する事を決めるんだけど、施設を出るときの2人の笑顔が最高で、めちゃくちゃいい顔してるんです(*≧∀≦*)♬

美味しいもの食べたい!
と、キャビアを頬張る2人(^^)

マドレーヌのQOL( 生活の質)は確実に高いものとなっていたと思います(^^)

入浴介助するシーンや、2人でダンスをするところ、マドレーヌをおんぶして丘を登るシーンがとても綺麗で、素敵で、
良いシーンなんだけど、全てのシーンで涙腺崩壊でした💦

マドレーヌの車をディアーヌが運転して、ドライブしている時の2人の笑顔も本当に素敵でとても印象的(^^)!


ところで、フランスの介護保険制度や地域医療には詳しくないけど、ケアマネとかつかないのかな?
せめて、住宅改修しないとマドレーヌの生活は維持できない、、、。


マドレーヌの意思を受け入れた娘、
到底受け入れられない息子、
実は人一倍優しい孫。
みんなの気持ちが痛い程、伝わりました。

大好きな愛車を売るマドレーヌ。
一緒にいると、自殺ほう助になるからと最後の時は1人になるマドレーヌ。


最後の晩餐は、もう観ていられませんでした( ; ; )


尊厳死は良いも悪いも、正直今の自分にはわかりません。
だけど今作品は、尊厳死、介護、QOL等について考えさせられる、とても良い作品やと思いました(^^)