イチロヲ

密写!緊縛拷問のイチロヲのレビュー・感想・評価

密写!緊縛拷問(1979年製作の映画)
3.5
緊縛ショーの大切な相方を亡くした男(野上正義)が、余命幾許もない絵師(下元史郎)の若妻(日野繭子)を縛ることにより、責め絵の作成を支援する。大正時代末期におけるアングラ世界の悲喜を描いている、新東宝配給のピンク映画。

生きづらい世の中を異常性愛行為で世渡りしていこうとする人間のドラマ。軍人が闊歩する「外の世界」からの逃避として、異常性愛のアングラ世界が描かれている。サドマゾ心理の綾を描いたものとは若干ながら異なる。

権力者の私利私欲のために、社会の暗部を彷徨うことしかできなくなった主人公の悲哀が、とてもよく表現されている。底辺部の人間たちがアブノーマルな世界に縋ろうとする感覚に、激しい同調を禁じ得ない。

東映のスケバン映画でデビューした丘ナオミが、岡尚美名義で出演。打算的でしたたかな大人の女を見事なまでに演じている。女優としての成長ぶりには、感嘆の声が出そうなほど。
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